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「自殺率ワーストは秋田」から見る比率と絶対数の違い

www.nhk.or.jp
5月9日のプロフェッショナルは自殺対策NPO代表の話でした。
その中で秋田県が自殺率ワーストから抜け出したとあったので実際に確認してみました。
平成27年の状況|自殺統計に基づく自殺者 - 内閣府「第2章 平成27年中における自殺の内訳」の表8 都道府県別自殺者数を見ると、平成26年では岩手がワーストで秋田がその次になっています。


ただ、残念なことに去年(平成27年)には再び自殺率ワーストに戻っています。
とはいえこの「自殺率ワースト」、少し気を付けて見る必要があります。
前述の表8を見ると平成27年の秋田県の自殺者数は278人ですが、 東京都は2483人です。
自殺者数は東京の1割ぐらいに過ぎません。
数で言えば東京のほうが圧倒的に多いのです。


「比率がワーストでも絶対数はワーストとは限らない」というのは直感に反する結果に思えるかもしれません。
だからといって比率のことを見捨てたりしないでください。
確かに自殺者数には大きな差がありますが、そもそも東京の人口は秋田の約13倍(2014年の人口推計都道府県,男女別人口及び人口性比-総人口,日本人人口」を参照)なので比較としてはアンフェアです。
(東京の自殺者数を13で割って人口補正すると191人なのでやっぱり秋田のほうが多い)
これは東京と秋田に限った話ではなく、人口の異なる47都道府県を一律に比較するためには比率が最適な手法なのです。


そして一律の比較にはメリットがあります。
自殺率が低い県と高い県の様々な要素を比較し差分を取ることで、自殺率を下げる対策が考案できます。
例えば、秋田と東京では経済環境が違います。
この場合、東京の自殺率が低いのは経済環境が良いからという1つの仮説が立てられます。
そこから経済的要因を改善するという対策を立てることができます。
破産して自殺する人が多いなら救済措置を設けることで自殺を減らすことができるかもしれません。


一方で自殺者の絶対数にも意味はあります。
日本全体の自殺率を下げる場合、自殺者数の最も多い東京に対策したほうが効率は良いです。
具体的に言えば、秋田の自殺者を200人減らすよりは東京の自殺者を1000人減らすほうが全体としては救える人数は多い(という考え方ができる)のです。
もちろん、だからといって冒頭の方の活動は効率が悪いと揶揄するわけではありません。
それぞれの県に合わせた方法でまんべんなく減らしていくほうが結果的に早いかもしれませんし。


比率と絶対数では役割が違います。
数だけやパーセンテージだけを見てワーストだトップだと一喜一憂せず、比率や絶対数やその他いろいろな指標を見て総合的に判断するほうがいいかもしれませんね。