2015年に読んだ本の中でオススメの本を20冊挙げるよ
今年読んだ本の中でオススメの本を20冊紹介します。*1
年末年始の休みに読んでみてはいかがでしょうか。*2
「世代」の正体: なぜ日本人は世代論が好きなのか (河出ブックス)
- 作者: 長山靖生
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る
団塊の世代やゆとり世代などの世代論。
それは大正時代から既に始まっていたことが本書で分かります。
各世代の時代背景も探っているのでちょっとした近現代史としても面白いです。
ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)
- 作者: 矢野久美子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/03/24
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (30件) を見る
希代の政治哲学者アーレントの生涯と思想についての一冊。
全体主義が何を引き起こすかを指摘した功績は大きいと思います。
考えることをやめず、自身の信念を貫き通した姿に憧れを覚えました。
西欧ではどのようにして労働が神聖化されたかが分かる一冊。
最初から神聖だったのではなく、途中からすり替わったというのが興味深いです。
対比的に紹介された古代ギリシャの労働観も必見。
日本的経営やその精神の正体を分析し、その源流を江戸時代に求めています。
そこにある「見えざる原則」とは?
日本での労働神聖視がなぜ発生したかも考察されています。
今昔国内外36人もの経済思想を取り上げた本。
経済思想というが簡単な評伝もあり単なる学術本というわけではありません。
経済に絡めて社会主義などの政治形態にも触れており幅広い知見が得られると思います。
タイトルの通り日本人論です。
冒頭、データから日本人が反権威の国家嫌いであることが示され衝撃です。
日本人の性質は一体何なのか。私たちが目指すべき世界はどこなのか。
その答えを垣間見させてくれる本です。
自然の残酷さ・不気味さ・恐ろしさなど自然の暗部を教えてくれる本。
「自然で起こる何かを、人間の行動を正当化するために決して使うべきでない。」という一文が胸を打ちました。
自然派の方にこそぜひ読んでほしいです。
自分の中で評価の定まらない本ですが、だからこそ紹介しようと思います。
よく聞く動物愛護論で「知能があるから」「人間に近いから」というのがあります。
本書はそれらを「種差別者」として問題視しています。
人間の価値観で動物の価値観を決めつけることは良くなく、どう感じるかは十分に考えなければならないと訴えています。
納得はできませんでしたが、多くの思考材料を提供してくれたと思います。
人間の行動は無意識の判断に影響されていることが分かる脳科学系の本。
多すぎる情報を選別し、世界を単純化するために無意識は有用な働きをしています。
けれどもそのために認識が歪むことがあるという事実は意識したいものです。
情報に騙されないための見方を教えてくれる本。
統計・権威・時間経過・ムードを例としてどのように情報は誤解されるかを示しています。
さらに見方そのものが複数あったり、判断を保留すべき場合もあるなど情報を読み解くことの難しさも言及しており、白黒つけるやり方そのものへ懐疑していることには好感が持てます。
リスク・リテラシーが身につく統計的思考法―初歩からベイズ推定まで (ハヤカワ文庫 NF 363 〈数理を愉しむ〉シリーズ) (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: ゲルト・ギーゲレンツァー,吉田利子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 19人 クリック: 189回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
統計数字や確率の見方を教えてくれる本。
今や統計数字や確率はあらゆる場において重要です。
ところがこれらは扱い方によっては誤解を招くこともある諸刃の剣です。
この本を読んで統計や確率の見方を知り、正確な判断ができるようになりましょう。
人はなぜリスクを正しく捉えることができないのか。
それは理性的な判断より直感的な判断が優先されるためだと進化心理学的見地から著者は述べています。
本書には、直感的なリスク判断を利用して企業・マスコミ・団体・政治家などは恐怖を煽ってくることが示されています。
そんな連中に騙されないためにも本書は必読です。
「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる (光文社新書)
- 作者: 佐藤健太郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 新書
- 購入: 51人 クリック: 757回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
「リスクにあなたは騙される」に感銘を受け書かれたリスクリテラシー系の本。
化学物質・医療・健康にかかわるリスクの読み解き方が分かります。
「リスクにあなたは騙される」は文庫で500ページあるので、読むのが大変と思う方はこちらを先に読むといいかもしれません。
科学っぽいことを言いながら全く科学的根拠のないものをニセ科学といいます。
本書には幅広いジャンルのニセ科学が紹介されています。
ニセ科学に騙されないように、その手口を学び、科学リテラシーを身につけましょう。
会話形式なので読みやすいのもポイントです。
出版不況を分析する本。
なんですが、これを推したのは分析の仕方に感銘を受けたからです。
原因を複数探る・因果関係を軽々に確定しない・課題が複雑系であり万能の解決策がないと理解しているなど。
あ、本についての話も面白いですよ。(本屋は廃業がラクとか)
物理学者の早野先生が糸井重里氏と原発事故や放射線被曝との付き合い方について対談した本。
情報を淡々と正確に発信することの大切さ、科学コミュニケーションの重要さ・難しさを教えてくれます。
以下のツイートについても解説しています。早野先生の姿勢そのものだったとか。
ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) 2011, 4月 25
年寄りの繰り言の代表格「昔はよかった」。
年寄りに限らずやたら過去を美化する人っていますよね。
本書は庶民史を検証し、そのウソを暴きます。
例えば、昔は治安は良かった→昔のほうが悪い、昔は暑さに強かった→別に強くないしむしろ弱いなど。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (10件) を見る
心理学と経済学の融合とも呼ぶべき行動経済学。その端を開いた本です。
人間の経済活動は理性的でなく、不合理に行われているという事実は経済学に衝撃を与えました。
金額は相対的にしか判断できない、自分の持っているものは高く評価してしまうなど豊富な事例を挙げて、人間がいかに不合理な行動をとるかを示してくれます。
成功哲学の本。
といっても巷に氾濫する自己啓発本ではありません。
「やってもできない」ことを前提にどうすれば生き延びられるかを提示します。
進化心理学を主軸としているので自慢自伝的な本でないのも好感。
- 作者: ポールグレアム,Paul Graham,川合史朗
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
- 購入: 109人 クリック: 4,884回
- この商品を含むブログ (582件) を見る
伝説的なLispプログラマーのポール・グレアム氏のエッセイ集。
刺激的なメッセージのオンパレードで、新しいものを作るのに役立ちそうだと思いました。
10年前の本ですが現在でも十分通じると思います。
3章「口にできないこと」6章「富の創りかた」7章「格差を考える」には感心しました。